2015年4月2日木曜日

人生の4つのステージ(アーシュラマ)

ヴェーダは、人間の正しい成長を促すために、一生の4つのステージを順々に生きるように教えています。

人生のステージは「アーシュラマ」と呼ばれます。
4つのアーシュラマにはそれぞれ果たすべき義務や、決まった生き方があります。

4つのステージは以下のとおりです。

1.ブランマチャーリャ・アーシュラマ (学生としての生き方)

人生の最初の24年間は、両親や先生の近くに住んで仕えながら、
しっかり勉強に打ち込む。


2.グラハスタ・アーシュラマ (家庭人としての生き方)

勉学を修めたら、勉強の成果を披露して褒美をもらいに王様のところへ行く。
(まだこのシステムが残っているところがインドにはあります。)
褒美をダクシナー(伝統に対する尊敬と感謝の印)として先生に渡し、
さっさと結婚をして、家庭の繁栄、社会への貢献に打ち込む。

3.ヴァナプラスタ・アーシュラマ (隠居生活の準備)

子供を結婚させたら、家庭での決定権を子供に譲り、相談されない限りは口出しをせず、
日常の忙しさから離れて暮らすことを学ぶ期間です。
独りで過ごす精神的な時間を増やして、家族や社会そして配偶者からも、
精神的な自立心を養うのが、このアーシュラマの目的です。

4.サンニャーサ・アーシュラマ (人生のゴールを果たす為の生き方)

やるべきことは全てやり終えた人は、社会だけでなく家庭の義務と権利を全て放棄し、
ヴェーダの最後の部分(ヴェーダーンタ)を勉強と熟考に専念する生き方です。

サンニャーシーになるためのヴェーダの儀式


「好きなことをする」のが本当に幸せなのか?


4つのアーシュラマを見ていると、それぞれの人生のステージが次から次へと、

本人の好き嫌いに関係なく決められているのが分かります。

西洋の自由主義を追いかけ、経済的・物質的に豊かになった日本では、

先にやるべきことが決まっていて、「やるべきことをする」人生は人権侵害で、

全てはオープンで自由、「やりたいことをする」人生でないといけない、

という条件付けの考えが普及しました。

しかし、それが本当に人間を幸せにしてくれるのでしょうか?


「好きなことをしないといけない」と言われても、、


誰でも皆、自分の好きなことがはっきりしているわけではありません。

また、皆が皆、自分の好きなことをはっきりさせる必要もありません。

なのに、日本では「自分の好きなことをしなければ」が一人歩きをしています。

「好きなことは?」と聞かれて、特に答えるものが無ければ、

それが自分にも周りにも問題になってしまいます。


「ニート」や「引きこもり」を作る条件


1.「これがあなたの義務です。嫌でもやってくださいね」と、

自信を持って若者に仕事を押し付ることが出来るしっかりした価値感を、

社会や家族が持っていない。

2.「好きなことをしないといけない」という既成概念。


これだけの条件が揃えば、「ニート」や「引きこもり」と、

人から呼ばれる生活をするのも当然の成り行きです。

条件は全て、社会や家族の価値感の問題なのに、

「ニート」や「引きこもり」というレッテルは個人に貼られる。

日本の社会において、大人が自信を持って「これをしろ、こう生きろ」と、

否が応でも押し付けることの出来る価値感と権限を失ってしまった結果です。


ヴェーダのベルトコンベア式押し付け人生


ヴェーダの教える生き方は、その逆です。

自分に与えられた役割は、既に星の位置(生まれた環境や運命)で決まっています。

「好きなことは何?」とは聞いてくれません。

しかし、自分に与えられた役割をこなしながら、

自分の人生を好きになる方法を沢山教えてくれます。

好きだろうが嫌いだろうが、やるべきことが決まっている

= 運命

= 宇宙の中の、私だけの唯一のポジション

= 一挙手一投足に、宇宙との調和を感じながら生きられる


少々大袈裟に聞こえるかもしれませんが、これが客観的な事実です。

宇宙と調和している社会生活は、好き嫌いが原因の反応を減少させます。

好き嫌いが原因の反応こそが、精神的苦痛を産み、人間として小ささを表しているからです。


自分に与えられた生き方が好きになれる、それがヴェーダの価値感


占星術で使う、その人の生まれた時間の惑星の位置を記したチャートのように、

その人それぞれに、宇宙でのポジションと言うものが、唯一に与えられています。

それらは、楽しいことであったり、悲しいことであったり、好きなことであったり、

惨めになるくらい嫌なことであったりしますが、全ては自分の成長の為なのです。

成長してどうなるのか?ということにもヴェーダは、

ヴェーダーンタの中できちんと教えています。

人生いいことばかりではありませんが、全てを宇宙からのプラサーダとして受け取ると、

ここにあるもの全てに奇跡と感謝を感じながら、平和=幸せに生きることが出来ます。

「幸せになる為のサバイバルな人生」から、

「自分が幸せだから、他の生き物も幸せにしてあげられる」に、

「なりふり構わない消費者」から「優雅な貢献者」へと育ててくれるのが

ヴェーダの教える生き方なのです。